矯正歯科の選び方① セファロレントゲンでの分析
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セファロレントゲンで分析する専門医を選びましょう
矯正治療を検討中の方は、セファロレントゲンで分析する専門医を選びましょう。
セファロレントゲンの大切さ
最近マウスピース矯正が広まってきていますが、マウスピースは所詮歯を動かす道具にすぎません。
大切なのは「分析」です。分析が正しくなければいくら歯を動かしても、見当違いの方向に歯並びを作り上げていくことになってしまいます。
では、分析に何が必要でしょう?いろいろありますが特に「セファロレントゲン」が重要です。これ無くして矯正治療は始まりません。
セファロレントゲンは、頭部全体のX線写真で、特に歯や顎の骨、頭蓋骨の関係性を評価するために使用されます。その重要性はいくつかのポイントに分けられます。
診断と計画
セファロレントゲンは、患者さんの歯の位置や噛み合わせの状態、顎の位置や成長パターンを正確に把握するために使用されます。これにより、矯正治療の計画を立てる際に、どのような治療が必要かを判断できます。
治療のモニタリング
治療の進行中にセファロレントゲンを撮影することで、治療が計画通りに進んでいるか、予期しない問題が発生していないかを確認できます。これにより、必要に応じて治療計画を修正することが可能です。
顔貌の変化の評価
セファロレントゲンは、治療によって顔の輪郭や骨格がどのように変化するかを評価するのに役立ちます。特に、成長期の子供や顔のバランスが気になる成人患者において重要です。
骨格的問題の評価
噛み合わせの問題が歯の位置だけでなく、顎や頭蓋骨の骨格的な問題に起因する場合もあります。セファロレントゲンを使用することで、これらの骨格的な問題を特定し、適切な治療アプローチを計画することができます。
患者さんへの理解促進
セファロレントゲンは、患者さんに自分の口腔内の状態を視覚的に説明するのに役立ちます。これにより、患者さんは自分の治療がどのように進行しているか、なぜ特定の治療が必要なのかを理解しやすくなります。
このように、セファロレントゲンは矯正治療の重要なツールであり、治療の成功に欠かせないものとなっています。
マウスピース矯正の普及で歯並びの写真だけでマウスピース矯正を開始して失敗するケースが全国的に増えています。
ワイヤー矯正であれ、マウスピース矯正であれ、セファロレントゲンを撮影しているところで分析を大切にしている歯科医院が安心でしょう。
セファログラム(レントゲン)の歴史
セファログラムは、1930年代に開発された技術で、正式には「頭部X線規格写真」と呼ばれています。この技法は、特定の撮影設備や条件に基づいて行われ、患者様の顔面部を含む頭部を側面から撮影するものです。
セファログラムの最大の特長は、撮影規格が厳密に定められていることです。
このため、患者様の成長過程や治療の経過を長期間にわたり正確に観察することができます。また、世界共通の規格であるため、学問や研究の分野でも広く利用されています。
この技法を開発したのはBroaddent氏で、その後、矯正専門家として知られるTweed氏が初期から関与し、患者様の治療分析に導入しました。
Tweed氏は、セファログラムを使用することで、歯槽骨(歯が生える骨)の大きさにより、歯の並び方に限界があることを発見しました。具体的には、前歯の方向、奥歯の方向、側方のそれぞれにおいて限界が存在することを示しました。
これまでの多くの矯正治療は、歯槽骨の限界を無視した拡大治療が一般的でしたが、セファログラムの導入により、エビデンスに基づいた新たな治療法が示されることとなりました。
Tweed氏は、歯槽骨の大きさに合った適切な歯の数を保つために、小臼歯の抜歯矯正の理論を提唱しました。
そして、彼自身が治療を行った患者様に対して抜歯再治療を行い、その結果を1940年に学会で発表しました。
セファログラムは、矯正治療において非常に重要な役割を果たしています。
私たちも、患者様一人ひとりに最適な治療を提供できるよう、この技術を活用しています。今後も最新の技術と知識をもとに、皆様の健康と笑顔を支えてまいります。
一般の歯科医院がセファロレントゲンを導入しないのは何故?
- 機材が追加で300万円近くし、高価である。
- 専用設備のため他の治療に使えずコストパフォーマンスが悪い。
- セファロ付きレントゲン装置を選ぼうとすると機器の選択肢が一気に狭まる。
- 撮影規格の制約で設備に対応させようとすると、より広いレントゲン室が必要になる。
- 分析がそこまで精緻でなくても、視覚的に歯が整列すれば満足してしまう。
矯正歯科を選ぶ際は、これらの点を考慮して、信頼できる矯正治療を提供するクリニックを選ぶことが重要です。
比較的長い期間をかかる歯科治療であり、一生の付き合っていく歯並び、噛み合わせです。納得できる歯科医院を選びましょう。